写真集 『響 - Resonance』出版記念展示
3人のイタリアの写真家が撮影したうきはが写真集になりました
Omnicent では、ミラノにあるイタリア随一の写真学校 IIF (Istituto Italiano di Fotografia) との提携により、毎年2 名の最優秀学生をうきはにて受け入れることとなりました。
2024年度に選出された Matteo Collera (マテオ・コレッラ) と Alice Re (アリーチェ・レ) に加え、同校の卒業生であり Omnicent の親友でもある写真家 Alvise Crovato (アルビゼ・クロヴァト) が 2024年4月に撮影した、うきはで出会った “14 人のマスター” に捧げる作品がイタリアの出版社より発売されることとなりました。今展覧会では、市内ゆかりの店舗や施設8カ所にて出版を記念する同時展示を行います。
下記の 8 会場にて期間中、各店舗の営業日にご覧いただけます。観覧は無料です。
すでに『響』に続く第二弾写真集の制作も計画しています。

















ミラノの名門写真学校 IIF (Istituto Italiano di Fotografia) の最優秀学生に選抜され、国外での制作経験を主とする奨学制度で来日した Alice Re と Matteo Collera、そして同校の卒業生でもある写真家の Alvise Crovato を加えた3名の写真家は、2024年4月、うきは市でのアーティスト・イン・レジデンスに参加するため、二週間に渡り市内に滞在をしました。
うきはの人々や風土に触れる中、自然に発生するように始まったこの共同写真プロジェクトでは、三者三様の画角や焦点で一つのテーマを追う形で、市内および近隣 14 か所で撮影を行いました。
陶芸や竹細工、藍染、木工などの工芸から、製麺所や養豚場、豆腐工房、茶畑のような農業と生産の現場まで、豊かな環境の中、自然とともに生み出すことを生業とする人々の暮らしや創作の場は、IIF の尽力もあり、およそ一年間の制作期間を経て写真集 『響』 として上梓されました。
編集・装丁から製本に至る、イタリアらしい一貫した美的感覚でまとめられたこの写真集には、被写体となった人々や場に捧げた写真家みずからによる詩が添えられており、確かな観察眼を垣間見ることができます。翻訳は Omnicent、題字は彫刻家の近藤裕史によるものです。
うきはとミラノの人々の協働により生み出された 『響』 。市内8ヶ所にて行われる今展示は、滞在、体験、制作の過程をたどる広域分散型の展覧会です。
▪️会期▪️
2025年9月27日 (土) - 10月19日 (日)
▪️会場▪️
❶ 居蔵の館
月曜休館
❷ 蛭子町珈琲店
月火定休
❸ 四月の魚
木定休
❹ Riverwild Ham Factory
月〜木定休
❺ la Pierre et le Chat (ギャラリー 石と猫)
水木定休
❻ Jingoro
水〜金定休
❼ ウキハコ
無休 (地図外、道の駅うきはに隣接)
❽ きもの田中屋
木定休
お問い合わせはこちらから、なお本展についての各店舗へのお問い合わせはご遠慮ください。
Alvise Crovato | アルヴィゼ・クロヴァト
1977年、イタリア・ミラノ生まれ。
16歳のときに写真を始め、LIPU(イタリア野鳥保護連盟)のボランティアとして風景や野鳥の撮影を経験。その後一時活動を中断するも、2007年以降は継続的にデジタル写真の実践へと取り組んでいる。
写真は彼にとって、地理学的な研究を創造的に掘り下げる手段であり、これまでにアフリカ諸国、インド、アメリカ合衆国、そして近年は日本など、多様な土地で撮影を行ってきた。2019年からは自然環境と舞台芸術を結ぶ拠点 Campsirago Residenza の専属フォトグラファーとして、人間と環境の関係性を探究し続けている。
これまでに広告代理店や国内外のNGO(AMREF、Soleterre)、制作センター、演劇カンパニーとの協働を重ねる。学術的研究を通じて培った自然環境への知識と、そこに生きる存在(動物を含む)へのまなざしを融合させ、被写体と環境を相互に響き合わせる独自の視覚的探究を展開している。クロヴァートの写真は、それぞれの瞬間をより大きなモザイクの一片とし、私たちが「現実」と呼ぶものを新たに形づくっている。
Alice Re | アリーチェ・レ
ミラノ在住。2023年、イタリア写真学院(Istituto Italiano di Fotografia, Milano)を卒業。
写真や映像作品を制作し、つながりや集合的記憶、人と環境との関係性をテーマに探求している。
その実践は、詩的なアプローチと多様なメディアの活用に特徴づけられる。
国内外の展覧会において作品を発表している。
Matteo Collera | マテオ・コレッラ
ローマ生まれ。法学を学んだ後、近年ミラノにて写真の道に進む。
絵画における光の研究を写真に結びつけ、ポートレートからシュルレアリスムまで幅広く関心を寄せている。
「顔に、誰かの沈黙に、魂を探す」と語り、作品において人間存在の奥行きを追求している。
人権活動家としての経歴を持ち、現在はファッション、ポートレート、リサーチ分野の写真家として活動している。
見えるものだけを信じないで
古の手について語ってください
静かなる叡智を宿す心を
鳶が川の上を舞い
鷺が留まる場所を選ぶとき
魚は食われ水がその隙間を満たす
そこは聖なる場所
私は誰も信じない
一人でできるわけでもない
靄の向こうに見えてきたもの
個は集い
連帯や和を望むのか
森の樹々が
梟の羽ばたきの静けさを
隠し露わにするように
いつかあなたが辿り着いたら
その時は私に教えてください
始まりに終わりがないということ
眼差しは心にあるということ
世界が我々を隔てるのではなく
気遣い、意図、過程と献身を
私の手は識っていたということ
祖先から続く私たちの智を
師よ教えてください
教えてください、師よ
※本プログラムは「うきは市アート・クラフト事業」の支援を受けて実施しています。